2021年5月22日土曜日

第39回上野の森美術館大賞展に12回目の入選

将来の日本の美術界をになう、個性豊かな作家を顕彰助成することを標榜として昭和58年より開催されている上野の森美術館大賞展に、五十嵐健治先輩(工S42入学)は、12回目の入選の快挙を果たしました。コンセプトは、一環して蜂の“Nest”です。

 

自由と純粋さを標榜し、84年の歴史がある国立新美術館での新制作展でも、13回も入選しております。今回は、五十嵐先輩にお願いし、初めて下記の絵の解説をお寄せいただいたので、それをもとにじっくりと鑑賞していただきたい。

 

【先輩からの寄稿】

今から10年ほど前自宅の庭に蜂の巣を発見し驚きそれから蜂の巣をテーマにした絵を描くようになった。

塀がなく草花や雑草の多い我家に蜜を求めて巣を作ったのは、まわり中コンクリートで覆いつくされ、自然破壊の結果と思うようになった。地球全体の環境の変化も気になりはじめた。

この絵は画面全体が黄色で構成され、黄色は個人的に好きで、黄色を多く使うようになった。

画面上部には、現在コロナ禍の中の山の手線改札口での群衆の状態を描いた。下部にはスズメ蜂の生育状態を表した。蜂が成長するには27日かかると言われているが、その成長過程を画面の中に表わし、時間と空間を同時に表現している。

その過程の中には人間と同様な家族内の葛藤がある。

これらの二つを共通に位置づけているのは「黄色の場」である。

その場で気が付いた視点や時間の全てを作品として「場」に表われる残像と記憶が関連性を保って全体像の作品とした。

 

「美的判断力は,快・不快の感情である。」 ― カントのことば

 

どう感じるかは、見る側におまかせしたい。

これを機に絵画に興味をもっていただければ幸いです。



 ―――――――――――――――――――――――――――――――

2年前の新制作展で、五十嵐先輩は、「絵はまず驚きを感じさせること、そして共鳴、共感を得ること」と言われたが、秀でた画伯の言葉の重みがあり、この絵はそれを彷彿させるものでした。

新制作展観賞と一時帰国の同期歓迎会

 伝統もあり厳しい審査で定評がある新制作展で、五十嵐健治先輩(s42入学)が連続16回入賞の偉業を成し遂げた。 今回の作品のモチーフは、やはりハチであり、タイトルは ”Where's been hive” とし、200号の大作である。 右側の巨大なハチが、俯瞰的に時代環境...